昭和生まれの私が、令和直前に平成のグラフィックデザインを味わう話

あと残すところ3日で新元号・令和がやってきますね。

突然ですが、みなさんが平成時代に買ったCDで一番思い出に残っているものはなんですか?
私は(正確な記憶かはさておき)人生で初めて買ったCD、平成9年リリースのSPEED 1stアルバム「Starting Over」です。

表題曲の「Starting Over」めっちゃいい曲ですよね…。
思い出補正もかかってますけど、やっぱりいい曲だと思う。
「I Remember」とか「Happy Together」とかカップリング曲も含めてまじで名曲ぞろい。
当時小学生だった私は、夜ベッドに入るとイヤフォンをして、CDプレイヤーで音をかけっぱなしにして朝まで寝てました。
そのくらい好きだった!

だから解散が発表された時は頭真っ白になったし、友達のお母さんがラストライブに行ったと聞いた時は、しばらくそのお母さんに対して心の壁を作っていました。(めっちゃ悔しかったんでしょう…。)

沖縄から出てきたばかりのまぶしい女の子たち!みんな幼い!
けどパフォーマンスはかっこよくて。
この時のHiroはまだ12歳くらいでしたよね。
同世代の子どもたちにとって憧れの存在でした。

なぜ今このタイミングで懐かしんでいるのかと言うと。
このSPEEDのアルバムポスターをはじめ、平成の時代をグラフィックデザインで振り返る展示を見てきたからです!

福島県須賀川市にある、CCGA 現代グラフィックアートセンターで開催中の『ヘイセイ・グラフィックス』。
この展示を知ったのは「igokuのフリーペーパーでお名前を知ったグラフィックデザイナー・高木市之助さんのツイートがきっかけ。
いわきに引っ越してきて数ヶ月した頃、薬局で順番待ちをしていたところ、チラシの棚から「死んでみた!」という強烈なキャッチが目に飛び込んできた。
思わず二度見。それが「igoku」のフリーペーパー。
恥ずかしながら、福祉に関するテキストはほぼ読んだことがありませんでした。
でも、こういう人間にも分かりやすく、文体がいい感じに砕けていて。
写真もデザインも、かっこいい!と思いました。
街なかで最新号を見かけるたび手に取っています。

そんなプロダクトを担当しているデザイナーさんがおすすめするんだからいいイベントに違いねえ。
ということでいざ須賀川へ!

山道を登りながら「ほんとにあるんかな…?」と不安になり始めた頃に見えてきます。
緑の中にぽつんと、真っ白でモダンな外観が目印です。

こちらの施設は大日本印刷さんが運営されているそうです。
もともとは作品を保管するだけの倉庫だったそうですが、ただ置いておくだけではもったいないよね、ということで、美術館になったんですって。
館内の撮影はOKだそうです。がっつり撮りましたよ。

おお…最初からすでにかっこいいぞ…!
\シャキーン/というSEが聞こえてきそうなロゴ。
ロボットもののアニメのタイトルとかに出てきそう。(感想のレベルが低い)

展示は、平成元年から現在に向かって時代順に並べられています。
「平成元年ー6年」「平成7年ー12年」という具合にエリア分けされていて、その時々の世界の出来事の解説を読みながら作品を見ていきます。
「この時は自分は中学生くらいかー」とか、「このポスターは覚えてるなー!」とか、ほぼ平成と同い年として生きてきた自分の人生をぼんやりと振り返ったりしました。

平成元年~のゾーン。
サントリーの烏龍茶や日清カップヌードルなど、今も親しまれる商品の広告がいっぱい。

左はおなじみMOTHER。 右もおなじみちびまるこちゃん。
なんて潔い余白!
このくらい色んな要素を削ぎ落としてミニマムに仕上がっているもの、好きです。
このちびまるこちゃんのポスター。左下の申し訳程度のスペースにテキストがあるんだけど、なんかいいこと書いてあるの。
だからぜひ見に行ってみて!この写真拡大しても読めないようにしておくので!

みんなだいすき(私ももちろんだいすき)無印良品のパンプレットもありました。
その隣は「タイポグラフィックス・ティー」というタイポグラフィの冊子。
1980年から発刊している息の長い専門誌だそう。

ここからは平成7年~12年のゾーン。

2000年問題を表した「ミルハウス」。
2000年になる瞬間、時計がちゃんと動くのかドキドキしたもの。

これ、なんて読むと思いますか?
「サザン」かな??とか「ザザーン」かな!?とかいろいろ考えたんですが…
…普通に「デザイン」ですよね。。

さて、今回の展示を通して最も強烈な印象を残したのは、この横尾忠則先生の作品です。
先生のことは今回の展示で初めて知ったのだけど、なんだ、この既視感は…??
とても著名な方なので、まぁ日々知らないうちに作品を目にしているんだろうな〜と思ったんですが。 自宅に帰ってから気が付きました。

こ れ か !!!!
(このジャケットデザインは横尾先生風、の模様。公式情報もなし。)

この情報量の多さ。自己主張すごいw
星飛雄馬の首元の処理も気になるけど、左右にある「MADE IN JAPAN」は敢えてそこに置く?!
左右にある金属製の耳(?)の異物感も…ツッコミが追いつきません。
この作品のタイトルは「戦後文化の軌跡」。
そこはかとなく漂うブラックな雰囲気がある。

これも横尾先生の作品。
長嶋茂雄さんのバットに、ちゃっかりご自身の名前が入っちゃってます。

そして…冒頭でお話したSPEEDのポスター!
これ、1997.5.21 on saleの下に「Including Body & Soul~」ってシングルカットされた楽曲のタイトルが羅列してあるんです。
本来セールスに直結するような超重要な情報だと思うんですが、この控えめさです。
余裕すら感じる。いやほんとに余裕だったのかも?
改めて言いますがめっちゃいいアルバムなのでみんなぜひ聞いて…!

平成13年ー17年のゾーン。
「世界で目標にされるニッポンが、いま、いくつあるだろう。」
このキャッチ、もう15年以上前のもので、しかも世界柔道のものなんですが。
結局今も変わらないんじゃないかって、ぐさりと刺さってしまいました。

きっと多くの人が「乗り換えよっかな…au…」と思ったであろう、インフォバー!
今見てもかっこいい。去年、新モデルも発表されてましたね。

そして最後の作品へ。
現在こちらで保管されている作品群で、最も新しいものだそうです。
ひろしま、空の青、雲。
ずっと忘れない出来事は、これからも時代を超えていくんだな、と思いました。

—–

全115作品。約1時間半ほどかけて、じっくり見ることができました!
都内の美術館で、作品に近づいてゆっくり見られたことなんて無かった。快適で最高でした◎
他にも何組か見に来ていたけれど、基本的に空いているのでどこで写真を撮っても人が写り込みません。笑 プレスの写真じゃないよ。
そして単純に、展示されている作品がかっこいいので「美術館は興味ないわ」なんて方も気軽に来て楽しめるのではないかと思います。
入場料も300円ですしね。

300円って! もうちょっとお値段上げてもいいと思うぞ!!!

ちなみに、施設内ではサロンスペースを利用することも出来ます。
「美術手帖」や「アイデア」のバックナンバーが閲覧できる他、コーヒーや紅茶などドリンクも注文できました。
入場料がお安いので、ここで何杯も飲めば施設維持に貢献出来るのでは…?とか考えたのだけど、DNPさんだし大丈夫か。笑

展示は6月9日までだそうです。
平成の余韻を楽しんでみてはいかがでしょうか?

イベント名 ヘイセイ・グラフィックス
開催期間 2019年3月1日(金)~6月9日(日)
場所 CCGA 現代グラフィックアートセンター

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